Nov 20, 2016

te



T i m e
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冬の日の時


そこにクリスマスの景色はまだなくて、男の子がひとり聖書を読んでいました。
男の子より小さい女の子と大きな朱色のストールをふたりでひとりのように片方の肩づつにかけて

そこへ立っていました。



寒くなってきて窓が時々曇ります。

鳥は羽を落とした。




Nov 7, 2016

te



p u p a
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蛹をつれてきてしまったみたい。
ここにこのままでいいのでしょうか。何の蛹かもわからないのに。





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R o s e
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薔薇二曲

「 薔薇の木に  薔薇の花さく  なにごとの不思議なけれど 」  北原白秋の詩



小さい紫色のバラ科の花を拾った。
随分前に山から花壇に、小さくて風で散ってしまいそうな白くて薄い花弁の野薔薇を植えたけれど、
咲くまでには何年もかかるのでしょう。
ここになくて、在るふたつの薔薇の話。
不思議の国のアリスでトランプは、「薔薇の花を赤く塗ろう」と歌っていたのを思い出しました。

ずっと迷ってやめていたけれど、野薔薇の曲を流してみようと思った。
去年の秋にずっと聴いていた曲です。







Aug 22, 2016

te




E x p e r i m e n t  o f  t h e  s t i l l n e s s
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静けさの実験


此処には何人かがいるのにとても静かな時があって、
静けさとは静かな事ではなくて空間みたいなものではないかと思いました。
得るようなものではなくてただ在ることであるだけのようなこと。
そこに在るひとつひとつの集積でその場が満たされていて、それがその時の静けさでかたちの無さについての事。
だからそこでは、静けさが騒ぎ出すこともありました。
そこにただある事も簡単でもない事でもあるようだった。
その感覚には何らかの壁みたいなものがあって、時には距離を置いて想ってみたり、
意図して入ったり入らなかったりという場所かもしれない。
できるならば、その事に添える言葉をもう少し言葉にしたいとずっと思っていました。
言葉にならないまま、そんな事ばかり日々感じて漂わせていたら、そうしたらもう一年を過ぎていました。

夏のこの色が好きです。
眩しいからカーテンを開けずにいて、薄らとしていて、夕方の白と黒の影。
去年は生ぬるくて、かたかたと扇風機の音がしていたけれど、今年は冷たくて静かです。
夏、この場所は少し変わりました。支えていたものが変わったよう。
揺ら揺らとしているのはずっとのこと、自然のことなのかもしれません。

不意に流れてくる景色が幾つもあって、雨と雨上がりの今日もそうでした。
ここに暮らすように、ここに足を運んでみる事。それが楽しいと、思う。


Jul 7, 2016

te




P e t a l
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花弁

六月に見つけた花弁。翅と思った。
とても寒い。近くのダムは渇いていて、土がひび割れていく景色でした。

本当じゃないかもしれないけど花は、ぽっかりと穴が開くという様子の逆さのような、そこに灯るような花でした。

馴染めるでもなく穴でもなく、灯るものの在り方。
もし分かち合いたいと思うなら、自由とそれよりたくさんの仕事があって、
自分だけでなくて、自分ではないものに何が差し出せるかをいつも考えていく事なのかもしれないです。

手をつかえなくて少しだけ退屈を感じています。
でも書きそびれてきた事を思いだせるかもしれないです。





May 9, 2016

te



P e t u n i a
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ペチュニア




te



S p r i n g
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水端は赤紫色
夏の行方と秋の沢山の色

この場所を挿み込むものをつくりました。曇り硝子を選んだ事。
これに挿んで馴染んでゆくものは、ただそれだけではないものでないと難しい事だった。
色々と挿んでみたい。
それは写真を挿むものであり、紐一つで本であり、この場所であり、人でした。









te



 f r o s t e d  g l a s s
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曇り硝子






Feb 22, 2016

te



P r i m u l a
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プリムラ


眺めながら11枚
この花から名づけられた小惑星もプリムラ





Feb 15, 2016

te



W i n t e r
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この場所でようやく冬まで辿り着けました。
冬は温室の中にいるみたい。
窓が曇ったり晴れたり。結露の向こうの世界。
植物になってしまいそう。
ある日デルフィニウムを渡しそびれた。この花の青は凄い。あの絵の、ラピスラズリを青に使ったようなそれを思い出します。

今日、また雪が降りました。
木蓮の後に活けた雪柳の花弁も床に散っていました。
雪が降った日は、雪があまりに真っ白だから本当の部屋の色がみえました。
最初に想像した色です。冬のこの色が好きでした。
今度はもっとたくさん降って、窓にも積もるといい。
昼間は日差しが白い石に反射して眩しかった。
その日差しはたくさんの思いもよらない景色を見せてくれました。
冬の石のベンチは座布団からはみ出してはいけない事。
この部屋の中では早い春。小鴨が次々と生まれた事。
この部屋の、この巣の鳥は水鳥だった事。
ピロスマニは素晴らしい曲になって戻ってきた事。時には昔の話をの昔が今なのかもしれないと気づいてしまった事。
そうならないようにいたいと思っている事。


もうこの部屋の全部が、春を待ち遠しく想っている事。



Jan 25, 2016

te



S w a n  L a k e
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白鳥湖






Jan 5, 2016

te



n e w  y e a r
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新年


お正月に家に生けた東洋の百合が咲き始めて、百合の匂いでいっぱいです。
宵の実のスープの器みたいな色の百合。
宵の実には仙人草の綿毛。

随分と色の変わった石の床を掃除しながら、昨年かけてもらった言葉ひとつひとつに、安心できた事を思い出しました。
ありがとうございました。本当に。

明けましておめでとうございます。
オープンからの昨年半年間の事、心より感謝しています。
今年もどうぞよろしくお願い致します。